「お前のダンナ、モーラハラ!」ごっこ
昨日、既婚者の女友達二人と飲みました。
最近二人の間では「モラハラ」という言葉が流行っているようです。
きっかけはこちらのブログだそう。
モラハラ予備軍だった夫が、年明けとともにとうとう臨界に達し、本格化しました。どこまで耐えきれるか分かりませんが、苦痛極まりないモラ夫の暴言や行動を、挑発にのらないよう、ブログに綴ることで冷静に客観視してみようと思います。
と、なかなか深刻な内容のブログですが、筆者の方の文章がうまいので所々笑える箇所も出てきて読みやすい。
友人たちはこれを読んで互いに
「あんたの夫、モラ王でしょ!」
「いやいや違うし、モラ王じゃないし!優しい時は超優しいし!」
と指摘し合っては強く否定するという会話芸がブームになっていました。
そんなブームがあるとはつゆしらず、私も早速二人の会話に巻き込まれました。
「ホニホニの元カノもモラハラだったよね!」
「……うん、あれはガチのモラハラだったね……
腹いせにお土産で買ってきたドーナツ踏みつぶされたり、色々あったなぁ……」
「あ……なんか、ごめん……」
全然オチがつかず終了。
リアルは罪です。
痴漢の怖さを男の人は分かれない?
そして話題はモラハラから痴漢に移りました。
先日の深夜、駅からの帰り道で自転車に乗った男に胸を鷲づかみにされたという友人。
男はそのまま自転車で走り去ったのですが、友人は怖くなって旦那さんに電話をしたそうです。
ところが電話に出た旦那さんは怒る。
「今何時だと思ってるんだよ(←深夜1時)。そんなことで俺を起こすなよ!」
びっくりの対応です。
でもこんな反応をされるのは珍しいことではないらしい。
聞けばもう一人の友人の旦那さんも、痴漢の訴えに逆ギレはしないものの
「……そうなんだ。で?」
と、きょとんとするそうです。
二人の旦那さんとは私も知り合いなのですが、実際の所は二人ともとてもいい人です。
モラハラ疑惑は本当に冗談です。(私と違って)
二人の言動は悪意があるわけではなく、一部の男性の中にある素直な本音なのでしょう。
私は今まで同性の女の子としか付き合ったことがないので、これは新鮮な発見でした。
女同士なら「痴漢された」というパートナーの訴えに「……で?」なんて返答になること、まずありませんからねw
加えて二人の旦那さんは体が大きくて腕力もある方です。たまたまの生まれつきで、今まで性的に虐げられる側に回ったことのない人生を送ってきた人たちだから、余計に痴漢の恐怖が想像もつかないのでしょう。
異性の問題を共感はできない
でも私はレズビアンなので、精神的には男性の面も持ちあわせています。
だから単純に「男って嫌あね!」とは言えない部分もあって……
はっきりと大きい声では書けませんが、私、そういうプレイ好きですし。(^^)
というのは冗談にしても、
普通に男として生きてきて分かれないものを「大事なことだから分かれよ、努力して共感しろよ」っていうのもどうなんだろうと思ってしまうのです。
女だって男から「あそこはちょっと角が当たっただけでもすごい痛いんだぞ。分かれよ、共感しろよ」って言われても無理ですしw
でもその一方で、女性が男性から痴漢を受けた時の、生命を脅かされるのと同じような怖さが「で?」で片付けられるのも嫌です。
胸を鷲づかみにされることの精神的痛みの大きさは、あそこを蹴られる肉体的な痛みの数倍に及ぶと思います。……と言っても男性側の痛みを分かれないからあくまで想像なんですけどねw
埋めることの難しい感覚的な理解の差をどうすればいいか。
この問いはいま、あらゆる面で社会的に問題とされているように思います。
中川まさはる議員の「同級生の裸にマジックで落書き」発言・熊田裕通議員の「女性をトイレに閉じ込め爆竹投げた」問題
最近、自民党の議員の発言がネット上に拡散され話題になっています。
これもFBより。自民党中川まさはる議員。男子校時代「同級生を脱がして、皆でお腹やおちんちんに赤いマジックで落書き」したが「いじめだと思わ」なかった、今は「いじめられている方も弱くなっている」のでは、と。性的暴行を自慢気に語るな。 http://t.co/v22lYCchcJ
— SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 4
またほぼ同時に熊田裕通議員が「女性教師をトイレに閉じ込めて爆竹を投げこんだ」と若い頃のヤンチャを話したつもりが炎上してしまったニュースも流れました。
これらに対して数々の意見が両議員の元に寄せられましたが
私が一番気になったのは以下のツイート。
スカートめくりした男の子が大人になって、「悪いことをした」と思えるか、「それくらい誰でもやるでしょw」と思うか。女性をトイレに閉じ込めた少年が大人になって、「悪いことをした」と思えるか、「それくらい誰でもやるでしょw」と思うか。どちらの大人に国を任せたいか、よく考えたいと思う。
— するめ (@surumeikka) 2015, 8月 5
いじめにもハラスメントにも明確な線引きはありません。
例えばこの議員の「脱がせて同級生の裸にマジックで落書きした」という行為。
もしこの同級生が仲の良い友達で、この後同じことをやり返して笑いあった……ということであれば、この行為はいじめでも性的暴行でもありません。
しかし、その行為が行われた当人たちの特殊な事情は世論にとってあまり意味を持ちません。
「脱がせて同級生の裸にマジックで落書きした」という行為のカミングアウトが「子供のやったこと」「誰でもやること」程度の安易な弁明で許されると思っているとしたら、この議員は相当民衆の心理を分かっていないのでしょう。
相手のことを(本当には)分かれない。だから尊重する
「そうされること」が嫌な人もいれば、気にしない人もいる。
嫌な人だけに焦点を当ててしまいすぎると窮屈な世の中になる。多様性や自由な発想が失われる。
しかし気にしない人の言い分が力を持ってしまってもやはり窮屈な世の中になってしまう。健やかに毎日を生きる権利が失われる。
二者の間には「相手のことを(本当には)分かれない」という溝があります。
上のツイートと基本的に同意見です。
ただ私は
女性をトイレに閉じ込めた少年が大人になって、「悪いことをした」と思えるか
というと、人間ってそんな風に反省できないと思うんですよね……残念ですが。
反省や謝罪というのは、他者が存在するので、バランス感覚の難しい行為です。
バランスを欠いた反省や謝罪は逆に関係者の心を傷つけてしまう場合もあります。
また、反省していないことや忘れてしまうことが回り回って人間が生きていく上での救いになっているという面もあります。
一番大事なのは反省することでもなく、ましてや分かってないのに分かったふりをすることでもなく
「自分を一般化しない」、
このことに尽きます。
友人たちの旦那さんも、炎上発言をした議員さんも
「今まで自分が生きていた世界の範囲だけでは理解しきれない感覚を持った人たちがいる」こと、
そして
「自分の感覚が一般的とは限らない」ことを念頭に置いていれば
妻や世論をざわざわさせることは無くなります。
そういう意味で私は自分がレズビアンであることを有難く思っています。
私は健康で、容姿も人並みなので、もしセクシャルマイノリティでなかったら、何かが「出来ない人」の気持ちを推し量れることが出来なかったと思います。
というか今も出来ていません。人の気持ち、全く分かりません。
ぎりぎり人として最低限の節度が、レズビアンであることで何とか保たれているという感じですw
回りはこれをいじめだと思っていませんでしたね。
「回り」の考えを勝手に「あなた」が代弁するべきではありません。
少年時代は、たいがいの男の子がスカートめくりをしたことがあると思います。
「あなた」の主観の少年時代を「たいがいの男の子」と同一視するべきではありません。
「あなたが痴漢に遭ってどれだけ怖かったかをあなたと同じようには分かれないけど、僕にできるのならあなたの怖さを取り除きたいよ」
これだけでいいと思うのです。
世論みたいなのを真面目に考えようとすると
もともと論理的な性格ではないので支離滅裂になってしまいますね!
失礼しました。